燎原の火 (まえかわ)

イメージは全く関係ありませんが、バリのサンセットです。

 

ある製薬会社さん主催の感染対策の講習会を受講したのですが、また新しい知見を得ることができました。

 

今日東京の私立医大から講師としていらっしゃった高名な先生の話を聴講できました。この先生の大学では以前、耐性菌のアウトブレイクで新聞沙汰になったそうで、それ以後この先生の大学では感染対策委員会が力を入れて対策を練るようになったようです。

 

 

本格的な微生物学者の先生はやはり、多種多様な耐性菌について豊富な知識をお持ちのようでした。

 

細菌というのは、古くから伝わるグラム染色という方法にのっとって、グラム陽性菌グラム陰性菌というのに分類されます。

 

私たち心臓血管外科の術後に悪さをする、具体的には縦隔(心臓のまわり)に膿を作って悪さをするのは、ほとんどがグラム陽性菌、中でも私の生涯の宿敵である黄色ブドウ球菌であります。

 

私が親の仇のように付け狙う黄色ブドウ球菌でありますが、彼らに対する『弾丸』を私たちは比較的たくさん持っております。

私が読んでいるマニア本2で、黄色ブドウ球菌に永遠に有効な『シルバーバレット』はない、と記載されていました。このシルバーバレットといいますのは、いわゆる西洋の伝承にある吸血鬼に効く魔法の弾丸みたいなもの、という意味だと想像されます。

ですが、いわゆる抗MRSA薬はいまのところ5種類も日本で使用できていますし、消毒薬もクロルヘキシジンや私の十八番のピオクタニンブルーを駆使すれば、保菌者を除菌することは可能であります。

 

 

さて、今日の焦点となったのは、このグラム陰性菌であります。

 

緑膿菌、アシネトバクター、クレブシエラなどなどです。

彼らは多剤耐性となる傾向を強く有しており、心臓血管外科術後の手術部位感染ではまず問題となることはないのですが、彼らによる肺炎で頭を悩まされることは往々にしてあります。

彼らに対抗するための抗生剤は選択枝が限られており、私のような門外漢が手出しできない領域であります。

実際、このグラム陰性菌によるアウトブレイクはときに新聞記事になるくらいであり、院内感染の事例として、この感染が死亡に直結したかは不明ですが、業務上過失致死として警察が介入した事例があったようです。

 

(そういいますと、すべての院内感染は業務上過失致死になりうるんでしょうか・・・

 現場で働くほとんどの医療従事者がお縄になってしまいますよ!!!

 福島の大野病院と同じ轍を踏んでしまうというわけですね)

 

 

MRSAに対する『search and destroy policy』で、手術部位感染をかなり制御できることはわかりましたが、グラム陰性菌による周術期の肺炎がこれからの焦点となってきそうな予感がします。

 

あらたな仇敵の予感です。