モンスター (まえかわ)

今日は少しイヤな話です。

 

最近、モンスターなんとか、という言葉が流布するようになりました。

 

 

『モンスターペアレント』というのは、教育現場でも問題視されていますがいわゆる『給食費を払えるのに払わない親』、『自分のこどもの嫌いモノを給食に出すな』とか、『自分の子を学芸会で主役にしろ』とか理不尽な要求をする保護者です。私はあまり詳しくないのですが、親子共々社会性が著しく欠けているということなんでしょう。

このモンスターペアレントが医学部でも出現したという噂がありまして、『なんで自分の子が試験落ちたんだ』と訴えてきた事例があったそうです。真っ白の答案用紙を見て納得して帰ったそうですが、ある水準に達した知識や技術を求められる医療の世界(というより社会全般)に、この親子はおそらく順応できないのでは、という感想を持ちました。 まあ、『蛙の子はナントカ』でしょう。

 

私の親友の小児科医が学生時代からよく言っていましたが『二十歳過ぎれば全て自己責任』です。

 

他の学部に比べて試験の数も半端ではありませんし、全ての試験(国家試験含む)をパスし、全ての実習レポートを出さなくてはなりません。国家試験受かって医者になれても専門医試験だの学位審査がありますし、他の職業よりも『学習し続ける』ことは求められると思うのです。

権威ある医学雑誌であるNEJMのHPもこういっています。『Never Stop Learning』と。

 

お金のことを言いますと、実に1人の医師ができるまでに1億円くらい国家予算が必要だと言うことですし(国立大学です)、私自身も両親にかなりの額仕送りしてもらいました。(最近完納できたものの、奨学金にも結構依存しました・・・。)

 

 

 

やや脱線しましたが、医療現場のモンスターのはなし。

モンスターペイシェント(ペイシェント=患者)という言葉を最近医師向け雑誌などで見るようになりました。

 

私自身はそれほどいやな思いをしたことはありません。

というのも『心臓の手術を受ける』というのは結構高いハードルです。

それまでに精密検査を一通り終えて、循環器内科や小児科の先生方がそれなりに厳しい話をされてて、それでも手術受けるというのは、それなりにご本人も覚悟ができていたり、しっかりした家族がいたりなど条件が整っている患者さんだからだと思うのです。

 

 

それでも、たまにこういう患者さんに会うことはあります。

ベッドを窓際にしろとか、個室にしろとか。病院食がマズイとか(私の舌には結構おいしいのですが)。

(個室は、一日あたりある程度の負担金が生じる『差額個室』か、重症者や感染隔離患者が入る『重症個室』しかありません。)

ベッドの調整は他の患者さんの重症度とか、他の病棟との関係性など考慮しなくてはならず、きわめて複雑なのです。

 

理不尽を平気で通そうとする患者さんに対して

私も一度だけ『(大学病院を)高級ホテルと勘違いしてんじゃねー!!』 と怒ったことがあります。

でも、その患者さんは『高級ホテルみて-なもんじゃね-か』と居直るんですね(病院にお金を払えない生活保護者だったのですが)。

病棟抜け出して喫煙したり、喫煙していたのに早く手術しろとごねたり(手術前1ヶ月禁煙できないと手術できません)、意地悪して看護師さんを泣かせたりと問題行動も多かったため、後はに油です。

 

私   『(心臓)治す気ねーなら帰れ!!』

 

・・・(炎上中)・・・

 

先輩のN先生が仲裁に来るまで、実に30分間私は烈火の如く怒り続けたのでした。

 

が,その後なぜかその患者さんは私の言うことだけは聞くようになりました。

 

 

ある雑誌にこんな記事が。

お産の時にテンパッた父親が、産婦人科の医師に向かって

『何かあったらただじゃおかねーぞ!!』と怒鳴ったそうなんですね。

これは社会常識から言って恐喝ですよ。(日本は法治国家ですから、自分の家内が同じような目に遭ったら私は遠慮無く相手取ります)

 

 

 

それでも、私たちの科に入院してくる患者さんの99%は善良な方たちです。

 

私が今出張で来ている病院には、未だに

『15年前に大泉先生に切ってもらった傷だぁ。大泉先生は、まぁオレが育てたみてぇなモンだよ』

と言って、お漬け物や果物などを持ってきてくれる患者さんもいます。

 

こういうのは、本当にうれしいものです。