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ある日の夕方。
病棟仕事を終え医局に引き上げてきますと、ハヤシ君が熱心に過去のデータベースから患者さんのIDを引き出し、大動脈疾患のCTを検討しておりました。影ながら努力を怠らない男です。
ハヤシ君『僕、一人で当直してるときに大動脈解離や、大動脈破裂きたこと無いんですよ。』
『もし、一人の時(これらに)当たったらどうしようかと思って、予習してるんです(ビクビク)』
この間私が受験した心臓血管外科専門医でも画像診断の問題はたくさん出題されていましたし、医師国家試験でもかなり高いレベルの問題が出ます。
内田先生『手術を極めたから、画像診断に目覚めたんだな、フフッ・・・』
ハヤシ君『先生ーッ、そんなことないですよーッ!!』
画像診断もそうですが、患者さんの訴えが当然ながら大事です。
私 『大動脈解離と心筋梗塞の痛がり方は違うぞ。
解離は発症時ナイフで刺すように痛がるけど、発症以後は割とけろっとしてる。
でも、心筋梗塞はずっと冷や汗かいてどんどん痛みが悪くなる。
『あと、大動脈破裂の時は麻薬使っても何使っても、絶対痛みコントロールできない』
画像診断のはなし。
自分が執刀した患者さんの術後のCTを、ある放射線科の先生が読影してくれたんですね。
『心嚢液貯留しています。心不全です。』
と書かれたことがありました。
心臓の手術をしたことを考えれば予想される量の心嚢液で、全くその患者さんは順調で、明日にでも退院できそうな方だったのです。
この先生はおそらく、患者さんの顔色はどうかとか、手足冷たくないかとか、呼吸様式が悪くないかとか考えずに画像診断レポートを書かれたのでしょう。おそらく、この科の先生方の仕事量から考えれば仕方のないことかもしれません。
画像診断だけではなく、採血などを含むすべての検査は同様の性質を持っているのではないでしょうか。
確かに自分が気づかない、患者さんの裏に隠れていることをこういう検査所見は教えてくれます。
同様に、私たちが気づかないことの多くを放射線科の先生は指摘して下さるのです。
(私も外勤先の病院で若い女性の『卵巣出血』を『虫垂炎』と誤診しそうになり、すんでの所で放射線科の先生に救ってもらったことがありました)
ただ、やはり患者さんを診ずに検査結果だけ追うと、ピットフォールに陥るのでは、と。
ですから、医学生さんには患者さんとしっかりコミュニケーションをとれるようになってほしいのです。そうじゃないと、患者さんの所見とることなんてできませんから。
私の恩師の先生はこう言っていました。
『患者さん診ないで画像だけ見るのは、テレビゲームと同じだ』と。
教科書的なことは机でも学べますが、臨床実習でしか得られないことはあると思うのです。もちろん、教科書的なことをしっかり『実践知』として定着させるためにも臨床実習は重要でしょうけど。
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