クラウド(まえかわ)

最近クラウドというと,ネットワーク上にデータ預けたりできるオンラインサービスのことを連想される方が多いかもしれません.私もiPhoneのデータバックアップを,appleが提供している『iCloud』というサービスで行っています.

他にもドロップボックスとか,エバーノートとかも代表的なクラウドですし,PCからもiPhoneからもアクセスできるので,私はその辺のPCすべてに手当たりしだい勝手にエバーノートをインストールしてます.

 

こうしますと,手元にリファレンスになる論文があるだけでどこでも論文執筆が出来ますし,投稿し終わった論文は一度外付けハードディスクに保存するので,PCのデスクトップがフォルダだらけとかいつもUSBもって歩いて紛失したりとか,そういう危険はなくなりました.

(医者がたとえば,患者さんの個人情報が入ったUSBを落とすとトンデモないことになります・・・)

 

 

で,今日のクラウドは,『また来たか!』と思われるかもしれませんが,私の生涯の仇敵,黄色ブドウ球菌のクラウドです.

今日はまたICU当直中なのですが,マニア本2で,手術部位感染と黄色ブドウ球菌の関連を研究しているところなのです.イメージはこの中の一節です.

(文章だらけで,かつ英語が苦手な方すみません)

 

 

まず1文目.

 

The degree of microbial contamination of the operating room air is derectly proportional to the number of people in the room.

手術室の空気の細菌学的な汚染の度合いは,手術の人数に比例するということです.

 

以下追って訳していきますと,いくら滅菌ガウンを着ようがマスクをしていようが,露出部から微粒子として細菌のエアロゾルは飛散するようで,これが術野を汚染し続けているようです.

(このことがあり,今日はハヤシ君のマスクの付け方が甘くて,ガッツリ怒りました)

 

最後の方のオレンジ色の線が引いてあるところですが,手術室は締め切り,手術手技が終わるまで不必要な患者,ヒトの出入り,器材の搬出入は制限されるべきである,と書いています.

 

滅菌器材に触らなければ大丈夫というのは間違いです.

この辺が,手術室で働いているスタッフの認識が甘いんじゃないかといつも思うのですよ.

(悪い意味で慣れが出ているんだと思われます)

 

 

黄色ブドウ球菌が接触感染のみである,というのは迷信です.

 

主に新生児領域でクラウドベビーという言葉が使われだしたのですが,『周囲に黄色ブドウ球菌のエアロゾルを雲のようにまとう赤ちゃん』がいるようなのです.

 

『クラウド』ヘルスケアワーカー(医療従事者)という言葉もこのマニア本2では使われています.

これは,上気道感染して咳をしまくる医療従事者によって保菌していた黄色ブドウ球菌が巻き散らかされ,感染のアウトブレイク(異常発生)が起こった報告があるそうです.

だから,みなさんが患者さんとして受診して咳をする医療従事者を見たらギョッと思った方がいいかもしれません.

 

 

このマニア本には極めて驚異的なことが書いてあるのです.

 

Staphylococcus aureus is one of tht most successful human pathogens, with a global distribution and the potential to cause serious, potentially fatal disease.

(黄色ブドウ球菌は,地球上に広く分布し,深刻かつ致命的な病気を引き起こしうる可能性を携えた最も成功したヒトの病原体の一つである)

※この『成功した』という表現は,バイキンの立場になった表現で細菌学者がよく使います.したがってヒトの立場から見れば『不幸な』というカタチになります.

 

The organism is well-armed with potent virulence factors, survival fitness, and antimicrobial resistance determinants

(黄色ブドウ球菌は毒性因子,生存適応性,抗生剤への耐性獲得能などで武装している)