試験官・抗生剤とMRさん(まえかわ)

午前は病棟仕事,午後は医学生さんの試験官(評価者).

家に帰られないので,病院1階のドトールで昼食を済ませ,そろそろ会場に行くところです.

いわゆる『OSCE』という実技試験なのですが,実技という性質上,評価は人海戦術なので私のような『下っ端助教』にも召集令状がきました.

試験の内容自体は機密なので,ここで詳細は残念ながら書けません.

 

 

家内から聞いたはなし.

あるMRさん(製薬会社の営業)の方のご家族が,家内の勤めている科に入院してきたそうなんですね.

で,外科的な処置が必要っていうので,メスが入ったところからバイキンが入らないように予防的抗生剤が必要になるわけです.

この予防的抗生剤っていうのは,ガイドラインである程度決まっていて多くの施設は第一世代セフェム系とか,第二世代セフェム系か,ペニシリンなどの基本的な抗生剤を使うのです.

広域抗生剤(カルバペネム,キノロン,第4世代セフェム)とか,抗MRSA薬は,耐性菌の温床になるからこういう場合あまり使ってはいけないんです.

 

ところがですね,このMRさんは処置が終わってから

 

『なんでウチの抗生剤(値段の高い広域抗生剤)使ってくれないんですか』

と家内に行ったそうなんです.

 

家内『え・・・?』

 

私はこのMRさんは以下の3つの誤ちを犯していると思うのです.

①MRという職業上の立場と,患者家族の立場を混同している.

②医師の裁量権に抵触している(これは大したことはないですが).

③抗生剤を販売する立場にありながら,抗生剤と耐性菌に対して不勉強である.

 

これだけ耐性菌伝播が問題となっているのに,抗生剤の乱用という面でコマーシャリズムが入り込んではいかんと思うのです.

 

昔はひどかったみたいなんですよ.

『薬剤選択』と『企業』との癒着.

実際昔は耐性菌なんてそれほど問題にならなかったのでしょう.

 

 

で,家内を含む(?)産婦人科の先生方は基本的に優しいので(いや,家内ももちろん優しいですよ),このMRさんに何も言わなかったそうですが,もし私が同じことを言われたら・・・

 

『うるせーッ!! もうウチの医局に顔だすんじゃねー!!!!』

 

ガンッ!!! (←その辺のイス蹴り飛ばす音)

 

 

と言ってしまうかもしれません.(そんなこと言いませんよ,念のため)

もしMRの方がこのブログを読まれて,ご気分を害したらごめんなさい.

(※一応まえかわは,このブログを読んでくれる全ての人が不快感を持たないことを最低限の目標にしています)

 

でもですね,将来耐性菌だらけで,使える抗生剤がもうない・・・,というディストピア(絶望的な未来)にならないためにも,抗生剤を作る人も,売る人も,使う人も勉強しなくてはならんと思うのですよ.

 

(説教臭くてごめんなさい・・・)