黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus を撃て!!(まえかわ)

今日ヤフーのトップニュースで見ましたが、薬物中毒した元アイドルの方がブログで活動再開を発表したっていうので、他人様のブログをほとんど読まない私は、参考にしようと潜入したのです。

 

あまりの内容の希薄さに驚いた…。まあ、有名人だからこんな貧相な内容でも許されるんでしょうが、そんなに無駄に『ありがとう』を連呼しなくても・・・。と、『アイドルに対するレセプター』がない私は少々苛立ってしまった。ファンの方いたらごめんなさい。

 

 

私は有名人でもなんでもない地方国立大学の一外科医なので、内容で頑張ろうと思います。

 

黄色ブドウ球菌を撃て!! (←『カエサルを撃て(佐藤賢一)』を少々意識して)

 

このブログを読んでくださる医師以外の方へ。

 

『黄色ブドウ球菌』とは、おもに食中毒の原因になる菌で、人口の約30%くらいの人が持っています。

そのうち、『メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)』ってのは、人口の約1%くらいの人が持っていて、ほとんどの抗生剤が効かない菌株で、院内感染の原因になったりします。

 

 

いままで、『心臓血管外科の周術期は特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は除菌すべきだ』っていう報告が多くて、メチシリンに感受性のある(いわゆる普通の)黄色ブドウ球菌は私たち、ほっといてたんですね。でも、普通の黄色ブドウ球菌も術後の感染リスクになる、という論文を感染制御部長の森兼啓太先生からいただいたんです。(INTRANASAL MUPIROCIN TO PREVENT POSTOPERATIVE STAPHYLOCOCCUS AUREUS
INFECTIONS(N Engl J Med 2002;346:1871-7.))

 

この論文では、『心臓外科を含めた、いろんな領域の手術において、耐性があろうがなかろうが黄色ブドウ球菌はすべからく除菌したほうが術後の創感染は減る』、ということを述べています。

私の中では、かなりの衝撃(パラダイムシフト)でした。

この事実は、すべての手術する医師は知っておいたほうがいいんでないか、とまで思います。

 

で、写真のこんな本を読んで勉強しているんですね。一般的な臨床医の方たちからは、外科医がこんな本読んでるなんて、マニアだなあ、と思われるかもしれません。

 

黄色ブドウ球菌は、繰り返しますが人口の30%くらいの人が普通に常在させているので普段は悪さしない菌なんでしょうが、コアグラーゼとか組織を強力に破壊する酵素を持っているので、どんな手術であろうが手術を受けられる方はこの前後だけでも体から追い出しておいたほうが(除菌)、よろしいだろうということです。毒性(virulence)が、皮膚に常在しているほかの菌(表皮ブドウ球菌など)と大きく違うのでしょうか。

一方で、除菌に用いる抗生剤軟膏(ムピロシン)の使い過ぎでこれに対する耐性菌が報告されています。

難しい問題です。

 

でも、山大二外は、黄色ブドウ球菌に対する『最強の秘密兵器』を持ってるんですよ。

クックックッ(←悪代官風)                     (次回へ続く)

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コメント: 2
  • #1

    月山道 (金曜日, 25 11月 2011 23:09)

    続編まってます!

  • #2

    まえかわ (土曜日, 26 11月 2011 15:23)

    ご期待ください.
    循環器グループはこの秘密兵器を『前川汁(まえかわじる)』と呼んでいます.

    あまり小難しいことに偏らないよう,バランスよくブログしていきます.