ICU当直中です.(前川)

ICUの話です.

多くの心臓外科医がその人生のほとんどを捧げるであろう『術後管理』に今従事しています.ということで,ICU当直室からお送りしています.

 

術後管理を外科医がするか麻酔科医(集中治療科医)がするかは,まだ施設によりけりだと思います.

ここ数年毎回集中治療医学会に参加していますが,集中治療科の先生方の中には,closed ICUを提唱されている先生が結構いらっしゃる.closed ICUというのは,行ってみればICU入室患者は完全に集中治療科にお任せで,各診療科の医師はあまりタッチしない,という考え方みたいです.定義は,うろ覚えですが確か8割のオーダーを集中治療専従医が出すというものだったと思います.

 

closed ICUかopen ICUかはさておき・・・私が定義する意味もそれほど重視していませんが.

いろんな意味で今のICUは働きやすくなったと思います.

一昔前なんて,他の科の患者には見向きもしない,というICUだったんですね.

自分の科の患者が透析必要になれば,自分で透析器組み立てて,自分で透析カテ入れて,夜中透析回路つまったら呼ばれて.再挿管も抜管も全部自分たちでやって,夜中患者が不隠になれば呼ばれ・・・.

そういった夜中起こりうる,予測できない事態がかなり減りました.他の科との垣根が低くなって他の科の先生の知恵を借りやすくなった,働きやすくなったのが今の山大かなーと毎日実感しています.やはり,ICUの専従の先生方がつくようになってからでしょうか.日中のうちに予測できることが多くなりました.

まあ,裏を返せば当時は「人の患者に手を出すな」という閉鎖性が強かったのでしょうか.

 

呼吸や鎮痛で困ると麻酔科,集中治療科の先生が助けてくれる.

透析が必要になると腎臓内科の先生やMEさんたちがメンテしてくれる.

感染で抗生剤の選択に困ると呼吸器内科の先生が来てくれる.

心機能悪そうなときは循環器内科や小児科の先生がエコーしに来てくれる.

毎週ICTが一緒にラウンドしてくれる.などなど.

 

一度電話するだけで患者さんがよくなるまでずっと継続的に親身になって診てもらってますから,本当にやりやすくなりました.

 

私は,外科的感染を主に研究テーマにしてます.きっちりしたデータをいずれ世に出したいと思っていますが,こういう集学的な治療が確立される以前は,例えば抗生剤の使用だけ見ても,相当稚拙な術後管理だったと思います.ざっとみただけでも半分以上の術後患者が培養などよく検討されずに第4世代セフェムやカルバペネムが投与されていました.呼吸管理が悪いから肺炎になってるんですが,『よくわからんから抗生剤やっとけ!』という感じだったような・・・こらーMRSA増えますよ.

 

今日も散文的でした.一応言っときますけどね,教授(ICU部長)にコマーシャルしろ,とかは言われてませんよー.

他の科の先生と関わっていく上で異なるスペシャリティを持つ医師に敬意を表することが重要であるのは論をまたない.岩田健太郎さん著の『コンサルテーション・スキル』にくわしいので,興味がある方はご参照されるといいかと思います.