ワークライフバランス論駁す。(前川)

今日は救急日直です。大学病院の。

 

しかしながら、今研修医の先生方と内科系の先生が診療してくださっているので、私は電話番です(決してさぼっているわけではない)。

たまにはまじめなことを書きます。熱心な研修医の先生方のため(?)に。

 

ワークライフバランス偏重の世相で、外科系の入局者が全国的に少ないんではないか。

 

貞弘教授とは違った視点で、外科系入局者の少なさを考察しています。

外科に女医は入らないから女医を減らせ、という暴力的意見には反対です。出来の悪い男の医者より、優秀な女医さんにみてもらったほうが、国民は幸せに決まってるじゃないですか。それに、今回の胸部外科学会でも、大分女性の先生が増えてきた気がします。

 

脱線しました。

 

外科入局者が少ないとかどうとか以前に、仕事に対する姿勢という話です。

この『ワークライフバランス』という言葉、『仕事』と『生活』を対立軸にしていることに私は強い違和感を覚えるんですよ。こぎれいなキャリアウーマンがこういう言葉使って、ビジネス本量産しているじゃないですか。残業やめると会社の業績上がるとか、そういう論調。 なぜだかすごく浅薄に見える。

 

やはり、人生のうちで、『ワークイコールライフ』になる時期が、職業人には絶対必要というのが私の意見です。

寝食忘れて、ひとつのことにわき目振らず打ち込む時期があってしかるべきだと。別に外科医とか何科医とかそういうのを関係なく、ある程度の修練を経ないで年取っても、自分が例えば若い人に指導するとき困るんじゃないか。

何だってそうでしょう。昨日深夜にパティシエの特集みたいなテレビやってましたけど、料理人でも、大工さんでも、学校の先生でも、おまわりさんでも、漁師でも、お百姓さんでも、漫画家でも、その道でご飯食べようと思ったらある程度厳しい修練をつんでるはずです。胸部外科学会の会長講演(上田裕一教授)でも『プロフェッショナリズム』というお話を聞いてきましたけど、こういう厳しい修練積んでプロフェッショナリズムを持っている人たちに、社会は敬意を払うべきだと思います(珍しく小難しい話です)。

 

そういうことから眼をそらして一人前になろうってのは私は良くないと思う。これはある意味、仕事に対する姿勢の『スラム化』ですよ。

医者でもいますよ。自分の患者さんが具合悪くなると逃げ出す人。

 

ワークイコールライフってのは、昔から使われる『生業(なりわい)』って言葉に一番当てはまりますかねえ。

 

何も、不必要にストイックになることはないですよ。家族だって大事にしなけりゃあなりませんし。家族そっちのけで働くってのも間違いだと思います。ただ、家族に「この人はこの仕事にこんなに打ち込んでるんだ」ということを理解してもらう努力を怠ってはいけない。

 

家内と『ゲゲゲの女房』のDVDよくみてるんですけどね。

主人公の布枝さんが、夫の水木しげるさんが片手で苦労して漫画かいてるとこを見て(戦争で左手を失っている)

「こんなに精魂込めて描いてるものが人の心を打たんはずがない」っていうんですね。感動しました。生業ってのはこういうことかなーと思います。